店舗デザインは内装だけではなく使い勝手を含めてデザイン
店舗デザインで大切なことは二つあります。コンセプトとインターフェイスです。 使いやすさやお店の方向性のことになります。お洒落であるなどは、この二つを土台にした条件なのです。
店舗デザインは空間演出を含めた総称になります。使いやすい導線やインターフェイスが必要です。 その上でコンセプトの演出のために内装デザインをして、たとえば飲食店やアパレル販売など、業種によって方向性を決めてゆきます。車で言えばエンジンや足回りと、ボディやインテリアの関係です。高級店なのか大衆店なのかなど、この構成により変化してゆきます。
店舗デザインは人間関係が大切な要素

店舗デザインはクリエイティブな仕事ではありますが、そのお店の業態に合わせて使い勝手や導線などのインターフェイスを設計してゆくことも役割になります。設計士や建築家と一緒に取り組んで、施工業者と一緒に作り上げる管理業務も含まれる泥臭い仕事でもあるのです。
多くの人と関わりながら仕事を進めてゆくので、人間関係を円滑にしてゆくことは必須になります。施工業者の職人さんは、明るくお喋りな人だけではありません。ノウハウやスキルが高く腕が良くても、シャイで人見知りをする人だっています。
組合から派遣された新規の職人さんとのコミュニケーションを上手にするのも、店舗デザイン職の仕事の一部になるのです。人間関係を構築して慣れて行けば、こうした施工業者さんたちに助けられる機会は少なくありません。ギブアンドテイクで持ちつ持たれつ、どんな仕事で同じですが施工関連の仕事はとくに人間同士の付き合いが重要な要素になります。
設計は大手のハウスメーカーが元請けになり、各種の仕事のパートを下請けに依頼することが良くあります。店舗デザインはハウスメーカーに所属して一部を引き受けることや、設計チームの一人としてプロデューサー的な役割を任せられることもあるのです。
場合によってはイメージ作りから設計までを行い、部材メーカーや施工業者との緩衝役になって段取りを進めてゆきます。プレッシャーも高いですが、仕事は増加傾向なので評判により仕事は途切れません。信頼関係が何よりも大切なので、納期やお金に関してクリーンでいることが自分と取引相手を守る秘訣です。
店舗デザインによくあるリフォーム案件

店舗デザインは既存店のリニューアルの場合は、軽度のリフォームで住む場合が少なくありません。山奥のロッジ風のデザインを変更して作り変えて、温かみのある北欧風で統一するのならば既存の店舗を活用しながら、予算を抑えて雰囲気を演出すればいいのです。
顧客の要望を叶えるために出来ることをするのが、店舗デザインの要諦になります。 近年では都心部でも空きテナントが問題化しており、公共交通機関の変化や趣味や嗜好の変化により、以前ならば一等地と呼ばれていた場所でも集客が望めなくなってきているのです。
空きテナントが増加してゆけば賃貸料金が下がってゆくので、今度はランニングコストの抑制を狙って移転してくる店舗が増えてゆくことになります。こんな時は店舗デザインの仕事が増加する時期です。 居抜きになっている物件をデザインする場合には、水回りや空調などをリニューアルして、費用があるのならば出入り口などを作り変えると今風になります。
定番なのは外側から見えるようにガラスを多用して、床材にアンティークを使うなどの方法です。それでいて水回りやデジタル機器は最新の物に代えると、リゾートの高級物件のようなラグジュアリー感を演出出来ます。
飲食店でもアパレル店でもイメージが大切であり、そこで働く人の接客がブランドを形作って行くのです。とくに近年は口コミがしやすくなっているので、接客やサービスだって大切な要素になります。店舗が美しくても接客が最低だと口コミされないように、運営企業は社員教育をしなければなりません。
店舗デザインは開発物件の業種に合わせる
価値観が多様化している時代であり、以前のようにリアルな店舗で接客を受ける機会も減りました。ブランド物ならばインターネットの公式店で購入したり、本屋などに行かずにサブスクリプションで内容を購入するような時代です。
店舗も商売である限りは時代の流れは無視出来ないので、開発物件は将来性などをチェックしなければなりません。 そのような世相で現在増加しているのが、自分の体を使うフィジカルな職種です。
たとえばエステ店は雑居ビルの2階や3階に入店することが多く、小規模ながら回転数を良くして収益化をするビジネスモデルになっております。インターネット通販で代用出来ないのは自分の体だからであり、わざわざ現地に足を運ぶことにロイヤルがあるのです。
こうした自分磨きで現地でしか出来ないことは、これからも伸びてゆく産業なので店舗デザインの需要も付随しております。 またもう一つ顕著に伸びている業種は、やはりフィジカルを強化するスポーツジム系のビジネスです。
以前のような大規模な箱物ではなく、マンツーマンや少人数のやり取りを目的として運営するプライベートジムや、場所を時間でレンタルする個室ジムなどが増えてきています。こうした流行や需要にも、店舗デザインに携わる人は適応してゆかなければなりません。
店舗デザインに携わる人は、見学のつもりで各種のサービスを使って直感的な感想を記録してゆくことが財産になります。個室ジムならばシャワー室などの設備の充実や、フロントのシステム理解のしやすさなどがメリットになるかもしれません。仕事の範疇では導線や、マシンの設置方法が勉強になります。
店舗デザインは什器など設備搬入も仕事

店舗デザインは内装や外装などを行うだけではありません。空調や電気工事の手配なども行いますし、トイレや下水道や上水道の設備に関しても担当し、トータルで齟齬がないように仕事を進めてゆくことが役割になります。
デザインの部分は一番最後の部分であると言っても過言ではありません。 その業種により仕事で使う機器類が異なり、IT企業の制作職ならば電話回線を各場所に多めに確保するなどの、仕事をする上での環境をデザインしてゆくことも店舗デザインの役割になります。
LANポート付近には電源コンセントを設置するように手配したり、照明の位置の配置だってデザインでありインターフェイスの導線になるのです。 美容などを施術するクリニックならば、診察代や専用の医療機器の配置も考えなければなりません。
顧客にヒアリングして、実際に職場見学などをして理解を深めることも有効な手段です。使い勝手が悪い導線にしてしまうと、ドアの開け閉めの際に診察台を移動しなければならないなど、笑い話にならないようなことも現実に起きてしまいます。
飲食店ならば顧客が使うスペースの設計をして、手洗い場やトイレは清潔に保てるような構造に作ることが重要です。トイレが客席に近すぎれば顰蹙を買いますし、狭すぎる場所は足の不自由な人には不便になります。
ユニバーサルデザインの概念を取り入れて、人が集まる店舗こそ使い勝手には細心の注意をしなければなりません。 こうした土台部分の構造を吟味して、北欧風や南仏カフェ風などのデザインの味付けをするのが本当の店舗デザインです。
店舗デザインは見た目だけではありません。使い勝手やお客様の安心感を含めて設計することが必要です。 だから視点はいくつも持っていなければならないことになります。
設計者の視線はもちろん、経営者サイドや顧客サイドになってみて、居心地の良い空間を作ることが店舗デザインの真骨頂なのです。視認性や機能性がデザインと両立していると、リピーターを生む好循環の店に育ってくれます。